北海道キャンプ場見聞録
我が家のファミリー通信 No.106
初参加の函館マラソン
北海道内で開催されるフルマラソンの大会で唯一参加していなかったのが函館マラソン。
清水町から函館までの距離は400キロ以上。
これならば札幌に住んでいる時に参加しておけば良かったと思っても後の祭り。
しかも、途中で忘れ物に気がついて占冠ICから家まで戻ったので、函館まで合計500キロも走ってしまう。

食事で立ち寄った有珠山SAから眺める有珠山と昭和新山
この日の宿泊は湯の川温泉のホテル 海と灯/ヒューイットリゾート。
函館マラソンにエントリーしてから宿泊先を探したけれど、既に何処も満室。
市内では朝食付きで1泊19000円のホテルくらいしか空きがなかったので、完全に予算オーバーだけどしょうがなくここに2泊することにしていた。
ところが、2週間前に何気なく楽天トラベルを見ていたら、湯の川温泉のホテルで土曜日に一部屋だけ空いているのを発見。
しかも、予約していたホテルとほぼ同じ宿泊料金で、こちらの方は2食付。
迷うことなく土曜日の宿泊だけ予約変更したけれど、多分キャンセルでもあったのだろう。
函館に到着し、まずは会場となる千代台公園陸上競技場に行って参加記念品を受け取る。
その際に、競技場から近い場所に良さそうな有料駐車場を見つけたので、明日はここに車を停めることにする。
ホテルの部屋は広々として、トイレと浴室が別れているのでとても快適。
展望露天風呂からは津軽海峡が見渡せて、遠くには下北半島の姿も見えていた。
部屋は海とは反対側だったけれど眺めが良く、5年前のGoToトラベル室蘭・函館の旅の時に泊まった笑 函館屋が直ぐ隣にあったのでビックリ。

ホテルの部屋の窓からの風景
朝食時間はマラソン参加者に配慮して午前6時15分から食べれるようにしてくれたので、午前7時にはチェックアウト。
最初はホテルから会場まで市電に乗るつもりでいたけれど、スタート時間が午前9時なので、それでは会場に着いてから慌ただしい。
おかげで予定していた駐車場にも車を停められたが、数分後には満車になってしまった。
それでも少し離れれば、空いている駐車場は沢山ありそうだ。

千代台公園陸上競技場
函館マラソンはフルとハーフが同時スタートとなる。
去年はハーフが先にスタートしたが、ハーフの遅いランナーがフルのランナーの行く手を塞ぎ、かなり混乱したらしい。
初めて参加する大会なので、それが同時スタートとなってどうなるのか、全く見当がつかない。
ただ、両方の参加者8千人が一箇所に集まっているのはなかなか壮大な眺めである。
北海道マラソンの参加者はもっと多いけれど、ランナーが集まっている様子を一望できる場所が無いので、その規模の大きさを実感できないのだ。

私はDブロックからのスタート
申告タイム順にAからHまでに分けられ、それぞれがまたフルとハーフに別れて整列。
かみさんはCで私はDなので、別々に並ぶ。
係員の指示によって順々にスタートしていくので、人数が多くても混乱はない。
先頭がスタートしてから6分後に私もスタートラインを通過した。

競技場を出ていく
この日の予想最高気温は25度、スタート時は20度くらいだったけれど、曇り空なのでそれほど暑くは感じない。
しかし、スタートして暫く走っているとやたらに蒸し暑く感じてくる。
とても20度の暑さとは思われないので、自分の体調が悪いのかなと心配になってくる。
街の中心部を過ぎると少しだけ風を感じるようになって、蒸し暑さも解消された。
暖かい空気がその付近に淀んでいたのかもしれない。
湯の川温泉の自分の泊まったホテルの前を通り過ぎる。
ハーフのコースは湯の川温泉で折り返しとなるので、此処から先はフルのランナーだけとなる。
函館マラソンのコースはアップダウンが多いと聞いていたけれど、湯の川温泉を過ぎた辺りからそのアップダウンが続くようになる。
高低差は大したことないけれど、長く続く上り坂が目の前に見えてくると心が萎えそうになる。

泊まったホテルの前を通過(写真は折り返し後に撮ったもの)
フルマラソンのコースは途中での折り返しも多く、全部で4箇所の折り返しがある。
このアップダウン区間にも2箇所の折り返しが有って、その両方でかみさんの姿を確認できた。
2箇所目の折り返しから暫く走っていくと、選手収容と大きく表示された車の車列が向かい側からやってきて、驚かされた。
関門に引っかかった人たちは大型バスに収容されるイメージだったけれど、ここではランナーの直ぐ後をワンボックスカーが車列を組んで走っているのだ。
その車列の直ぐ前を苦しそうな表情で走っているランナーを見て、思わず「頑張ってください」と声をかけてしまった。
しかし、その車列と自分との差がそんなに開いていないような気がして、自分の身も心配になってくる。
関門の閉鎖時間に追われた北海道マラソンの二の轍は踏みたくはない。
再び、湯の川温泉まで戻ってくると、地元のよさこいチームが大きな旗を振りながら応援してくれていた。
途中でよさこいソーランの踊りも披露するのだろうし、ランナーが走っている間応援を続けるのは走っているのと同じくらいに疲れそうだ。

よさこいチームの応援
津軽海峡を見渡せる漁火通までやってくると、函館山の姿も良く見えるようになる。
ここまで結構良いペースで走ってきていた。
梨状筋症候群による痛みで最近は思うように走れていなかったので、函館マラソンも5時間を切れたら良いな程度で考えていた。

函館山を眺めながら漁火通を走る
ところが20キロの通過時間は2:13:23。
後半にもう少し頑張れば、サブ4.5の自己ベストも不可能ではない。
なんて考えも頭の中をよぎったが、練習不足で後半にペースを上げられるはずがない。
20キロを過ぎると、少しずつペースが遅くなり始める。
22キロを過ぎると再び折り返しのランナーとすれ違うようになる。
さすがに前の方のランナーは早いなと思ったが、何となく様子が変だった。
早いどころか、苦しそうな表情を浮かべてヨロヨロしながら走っていて、歩いている人も多い。
ゼッケンの色を見て、その人達がハーフの参加者であることを理解した。

ハーフマラソンのランナーは歩いている人が多かった
ここでかみさんと3回目のスライド。
すれ違うたびに、かみさんとの差が大きくなっていく。

函館マラソンではかみさんと4回スライドした
電車通りに入ってくると後ろから「ナイスラン」と声をかけられる。
声の主は直ぐに分かった。」
ゲストランナーの福島和可菜さんだ。
皆に声をかけながら走っているのだろうが、良いフォームで走っていたからナイスランと言われたのかなと、勝手に解釈して嬉しくなる。
途中にはレトロ電車の「箱館ハイカラ號」が展示されていて楽しませてくれる。
それにしてもこの函館マラソンは市内中心部をぐるぐると走り回るようなコースになっていて、主要な交通手段である市電も部分運休しているし、函館市のこのマラソンに対する本気度が伝わってくる。

レトロ電車も応援してくれる
谷地頭電停での折り返しも、その前後のアップダウンが大きくて体力を奪われる。
相変わらず雲が広がっているのには助けられたが、それでも暑いことに変わりはない。
給水所でのかぶり水のサービスには随分助けられた。
ずぶ濡れになってシャツが身体にへばり付くが、そんなことは気にしてられない。

谷地頭電停折り返し前の坂道
最後尾の方で最終制限ランナーのゼッケンを付けた4人のランナーが走っていた。
多分、関門閉鎖のギリギリの時間に合わせて走っているのだろう。
最初にすれ違った時は、最終制限ランナーの後ろを走っているのは数人だったけれど、この辺りになるとそれがかなりの人数となり、歩いている人も多い。
そしてその本当の最後尾のランナーの後にピタリと付けているのが収容車の車列。
どんなに遅くても、関門閉鎖時間を過ぎない限りは強制的に車に収容するわけにはいかないのだろう。
なかなかシュールな光景ではある。

最後尾のランナーの後ろに続く収容車の車列
その中を歩いているのはフルマラソンのランナーばかりではなく、ハーフマラソンのランナーも混ざっていた。
関門閉鎖時間はフルもハーフも同じ。
最終的に午後3時までにゴールすれば良いのである。
ハーフの距離を6時間かけて完走するというのも、ある意味で凄いことである。
そして30キロを過ぎたところで待ち構えている跨線橋。
ラップは既に7分台まで落ちてきていた。
何時ものランならば何も感じないような上り坂でも、地味にきつく感じる。
此処から先は全て往復コースとなるので、きつい坂はもう一度超えなければならないのだ。

ともえ大橋に向かう前の跨線橋
そしていよいよラスボスとも言えるともえ大橋だ。
ベイエリアを縦断する全長1924メートルの臨港道路である。
函館マラソン経験者から、ともえ大橋が一番きついと聞かされていた。
しかし、高低差は15m程度、途中にアップダウンもあるけれど、実際に走ってみてもそれ程キツさは感じない。
それどころか、函館港や函館山を眺めながら走れるこの区間が、全コースの中で一番好きだったかもしれない。

眺めの良いともえ大橋
その橋が終わる頃に、かみさんと4回目のスライド。
こんなに苦しそうな表情で走っているかみさんを初めて見た気がする。
私はこの辺りではタイムを気にせずにLSDペースで走っていたけれど、タイムを狙って走っているランナーにとっては、ともえ大橋はやっぱり難所なのだろう。
ともえ大橋が終わって赤レンガ倉庫群へとやってきた。
函館市一番の観光地、函館マラソンのクライマックスと言っても良いだろう。
観光客の声援を受けながら走るのは何だか変な気分である。

35キロ付近で最後の折り返し。
フルマラソンで35キロを過ぎると、ようやくゴールが見えてくる気がする。
この辺りで、エイドと写真撮影時以外は絶対に歩かないと心に決めた。
緑の島のエイドでは塩ラーメンが食べられるらしい。
それを楽しみに力を振り絞る。
ここのエイドではミニ海鮮丼も有ったが、泊まったホテルの夕食で海鮮類は食べ飽きていたので、ここは塩分補給を兼ねて塩ラーメン一択である。
冷たいラーメンなのが嬉しく、すすり込むように一気に食べてしまった。

美味しかった冷やし塩ラーメン
この辺まで来るとラップも8分台まで落ちてしまう。
もしも歩くとラップは9分台になってしまうので、それだけは絶対に避けたかった。
歩いたり走ったりを繰り返しているランナーもいるが、結果的にたとえゆっくりでも走り続けている方が早い気がする。
私も昔はそんな走り方をしていたけれど、歩いてしまうと追い抜いたランナーに抜き返され、以後はその繰り返しとなる。
今回はその逆となって、同じランナーを何度も追い越して、何か申し訳なく思えてきた。

ともえ大橋でも収容車とすれ違う
そんなスピードで走っていると、ともえ大橋の上りも大して苦にならない。
ゴールの陸上競技場が近づいてくると、沿道からの「頑張れ!」の声援も一際大きくなる。
函館マラソンのコースは殆どが市街地の中なので、沿道からの応援も途切れることがない。
マラソン大会でこれだけ頑張れと言われたのは他に記憶がない。
何時の間にか空を覆っていた雲は晴れていたようだ。
陸上競技場へのゲートをくぐると、夏の青空が目の前に広がっていた。
本格的な陸上競技場がゴールとなるマラソンは初めて。
一端の選手になった気分で、気持ちよくゴールすることができた。

陸上競技場がゴールなのは気分が良い
タイムは4:58:42。
目標にしていたサブ5は達成できたけれど、もう少し余裕を持ってゴールするはずが、結構ギリギリのタイムになってしまった。
前半に少し飛ばしすぎたのかもしれないが、後半の失速は多分暑さによるもののような気がする。
そうだとしたらサブ5は前半の貯金のおかげと言えるかもしれない。
かみさんのタイムは4:12:31。
女子の65~69歳の種目で2位だったのは流石である。
そんなかみさんも、アップダウンの多いコースは流石に辛かったようだ。
なかなか楽しい函館マラソンだったけれど、時期的に気温は高いし、コースはアップダウンも多い。
かみさんがかなり凝りたようなので、2回目の参加は無さそうな気がするのだった。